≪定例会報告≫ 第2140回勉強会

◆第21回勉強会 日時:201149日(土)14001900 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@肩関節周辺組織の触診(140015:00

骨、靭帯、筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A肩関節周囲炎〜五十肩〜(富永草野クリニック 梨本茉莉花)

狭義の肩関節周囲炎とは、石灰沈着や腱板断裂などの原因と病変部位が明らかな疾患を除外し、中年以降、50代に多く発症し、肩関節の痛みと自他動の可動域制限を主訴とするものとされている。今回、その病因、発症メカニズム、鑑別診断、治療について臨床所見・過去の報告を交えて報告した。主たる病変は腱板疎部および烏口上腕靭帯であり、その組織学的変化は線維芽細胞と筋線維芽細胞を中心としたfibrosisとされている。また、そのための二次的障害として関節包の縮小が生じると報告されている。そのため、肩関節周囲炎の治療としては、腱板疎部および烏口上腕靭帯の伸張性の改善、また関節包の伸張性の改善が重要となる。(文責:富永草野クリニック 梨本茉莉花)

B腱板断裂(富永草野病院 小海 努)

腱板の解剖学的特徴を基に腱板断裂の臨床症状、画像所見、保存療法、術後運動療法について述べた。解剖学的特徴として棘上筋、棘下筋の大結節への停止部は従来の報告よりも前方に位置しており、棘上筋断裂と考えられてきたものが実際には棘下筋断裂である可能性があること、棘上筋は外旋位での外転、棘下筋は内旋位での外転で優位に作用すること、肩甲下筋最頭側部からは舌部と呼びうる組織が上腕骨頭窩に付着し、上腕二頭筋長頭腱の内側脱臼を防止していること、小円筋は上部筋束と下部筋束が下垂位では捻じれるように走行していること等について紹介した。画像所見についてはMRIを中心に正常肩の基本解剖を紹介し、斜位冠状断像・斜位矢状断像・横断像についてのチェックポイントを紹介した後、症例供覧を行った。保存療法については肩峰下滑液包による損傷腱板の修復機構があること、保存療法の対象となるfunctional impingementの種類と対処法について紹介した。術後運動療法については修復過程を考慮して行う必要があり、腱板についても一般的な腱の修復過程に準じるが、critical zoneの存在や断裂の大きさ、縫合時の緊張等を考慮する必要があること、腱と骨の接合が6か月で完成する事を基に当院での術後運動療法を紹介した。(文責:富永草野病院 小海 努)

 

◆第22回勉強会 日時:201157日(土)14001900 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@膝関節周辺組織の触診

骨、靭帯、筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A膝関節のスポーツ障害〜PCLLCLMCL損傷〜(富永草野クリニック 安田真士)

膝関節におけるACLを除く、PCLLCLMCLの解剖学的特徴を基に、各靭帯損傷の発生機序や画像所見、臨床症状、理学的所見、治療方針、また理学療法実施上の注意点について述べた。スポーツの場面では、PCLLCLMCL損傷は基本的に接触による受傷が多い。靭帯損傷の後療法としては状況に応じて保存療法と手術療法が適宜選択されるが、どちらにせよ修復・再建された靭帯は、健常の靭帯に比して力学的に劣る。理学療法としては、損傷した靭帯の修復・治癒過程や解剖学的特徴を理解し、それを阻害しないように実施しなければならない。また、スポーツ復帰を目指すにあたり、再受傷の予防として筋力とスキルの強化、競技を行ううえでのリスク管理を徹底的に行う必要がある。(文責:富永草野クリニック 安田真士)

BACL損傷およびACL再建術について(新潟県厚生連三条総合病院 飯田 晋 先生)

今回、三条総合病院リハビリテーション科の飯田晋先生より、ACL損傷およびACL再建術について、文献や報告、治療経験を基に手術手技やリスク管理、理学療法を紹介して頂いた。

ACL損傷は、スポーツ中に発生することが多く、受傷機転は直達外力により生じる接触型とジャンプの踏み込みや着地動作などの動作時に生じる非接触型に分けられ、接触型の場合では重症度が大きい。ACLの単独損傷は稀で半月板やMCL損傷を合併する。治療法の選択としては、患者の活動レベルが重要視され、スポーツ復帰が目標となれば、手術療法が選択される。しかし、術前に可動域制限や著明な大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力低下が残存しているとパフォーマンスの低下を招き、予後に大きな影響を与える為、まず保存療法にて腫脹管理を徹底し、正常な可動域や大腿四頭筋の筋力を獲得し、術後のプロトコールが円滑となるようにしなければならない。再建術は骨付膝蓋腱や膝屈筋腱を用いる方法があり、強度は骨付膝蓋腱の方が優れているが、屈筋腱を23重折りとすることで強度は前者と遜色なくなるため、術式は術者の選択により異なる。術後の理学療法では、移植腱を採取した部位に負荷をかけすぎないよう注意し、器質的・機能的回復も考慮しながらプロトコールに沿って進めていかなければならない。また、競技によって特性が異なるために特性別の理学療法を行いパフォーマンスの向上を図り、再発予防のためにも注意点を指導し、定期的な評価が重要となる。(文責:東ヶ丘整形外科 吉田明朗)

 

◆第23回勉強会 日時:2011625日(土)150018:30 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容新潟支部全国研修会2011予習会part1

@腰部の機能解剖と腰痛(富永草野クリニック 風間裕孝)

基礎的な腰部の機能解剖とバイオメカニクス、腰痛発生のメカニズム、病期、腰痛診断のフローチャートについて説明し、腰椎椎間関節性疼痛、椎間板性疼痛、筋性腰痛、仙腸関節性疼痛についてそれぞれの特徴と整形外科的な治療について解説した。

A腰部・骨盤部の触診(富永草野クリニック 風間裕孝)

1)関節・靭帯・筋:腸骨稜、Jacoby線、L15腰椎棘突起、正中仙骨稜、腰椎椎間関節、腰椎肋骨突起(横突起)、上・下後腸骨棘、大・小坐骨孔、坐骨棘、上前腸骨棘、恥骨結合、第12肋骨、腰方形筋、腰部多裂筋(傍脊柱起立筋との鑑別)、腸腰靭帯、仙腸関節、後仙腸靭帯、仙結節靭帯、仙棘靭帯

2)骨の位置関係・可動性評価・疼痛誘発テスト:骨盤の位置関係の確認、姿勢(脊柱アライメント)の確認、腰椎後弯可動性評価、腰椎椎間関節性疼痛誘発テスト、仙腸関節ストレステスト(文責:富永草野クリニック 風間裕孝)

 

◆第24回勉強会 日時:2011723日(土)14001730 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容〔新潟支部全国研修会2011予習会part2〕:股関節機能から見た腰痛(富永草野病院 小海 努)

前回に引き続き、8月の全国研修会の予習会として腰痛の治療も基本的には関節機能障害と解釈し、unstable jointstable jointに改善していくことを確認したうえで、梨状筋症候群、腰椎前弯増強による腰痛に対する股関節前面筋群の機能改善、腰椎前弯の減少による腰痛に対する仙骨の直立化、腸腰筋・脊柱起立筋の筋力の改善について関連する組織の触診、評価方法、治療について実技を踏まえ行った。(文責:富永草野病院 小海 努)

 

◆第25回勉強会 日時:20111022日(土)14001830 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@腰部・骨盤、膝関節周辺組織の触診(14:0015:00

 骨、靭帯、筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った

A腰椎椎間関節性疼痛〔新潟支部全国研修会2011復習会part1〕(富永草野病院 佐々木雅司)

新潟支部全国研修会2011復習会part1として、腰椎椎間関節性疼痛について、講義・実技を行った。

B成長期スポーツ膝障害 Osgood-Schlatter病・膝蓋靭帯炎・有痛性分裂膝蓋骨(寺尾整形外科クリニック 廣川 恵)

Osgood-Schlatter病・膝蓋靭帯炎・有痛性分裂膝蓋骨の病態や治療、運動療法について講義と実技を行った。成長期のスポーツ障害は、発育急性期の発症が多く、その要因として骨の長軸成長に筋の伸張が追いつかず、筋・腱の過緊張と相対的拘縮状態を起こし発症する。この他に、急激なストップやジャンプ動作が繰り返されることによって、膝伸展機構に過度な牽引力が加わり、脆弱な骨端核に炎症や部分的剝離、微小裂離骨折を招き、靭帯においても微小断裂や変性を呈する。そのため、理学所見にてどの組織が原因であるのか的確に評価することは重要となる。しかし、従来のEly-testOber-testにて陰性にもかかわらず、症状が残存しスポーツ復帰に時間を要する症例もある。林らは、大腿直筋短縮testOber-test変法を考案し、各testで陰性化することがスポーツ復帰の指標になることを報告している。実技では、従来の評価法と林らの評価法の比較や筋肉の柔軟性の評価等を行い、加えて各筋のStretchを紹介した。成長期のスポーツ障害において、局所症状が完治してもalignmentが不良であれば再発を繰り返してしまうため、運動療法でもalignmentを考慮しながら進めていく必要があり、また再発予防の面でもSelf-Stretch等の自己管理の指導も重要となる。(文責:東ヶ丘整形外科 吉田明朗)

 

◆第26回勉強会 日時:20111126日(土)

内容

@仙腸関節性疼痛〔新潟支部全国研修会2011復習会part2〕(富永草野病院 植村 瞳)

A症例報告 THA後、腹部・腰部痛を生じた症例〔新潟支部全国研修会2011症例検討〕(富永草野クリニック 阿部純子)

 

◆第27回勉強会 日時:2012128日(土)14001830 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@足関節周辺組織の触診14:0015:00

骨、靭帯、筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A踵骨骨折(富永草野病院 宮島 雄)

踵骨及び周囲の機能解剖として、踵骨の解剖学的特徴・踵骨に付着する筋・踵骨の周囲を走行する筋や神経・距骨下関節の機能解剖を述べ、続いて踵骨骨折の概要・画像所見・手術方法・受傷後の遺残疼痛・運動療法について述べた。踵骨骨折の遺残疼痛として、距骨下関節面の不適合、踵骨外壁における腓骨筋腱とのインピンジメントや外傷性偏平足による足底痛などが挙げられる。これらは、画像所見で後距踵関節面の損傷程度、骨折部位や転位の有無を把握し、運動療法に生かすことである程度予防が可能である。また、踵骨骨折は距骨下関節を主体とする骨折であることから、運動療法としては踵骨の骨癒合を配慮し、受傷後もしくは術後6週までは距骨下関節および足関節の回内・外運動に関与する組織の拘縮予防と距腿関節の可動域維持を主体に実施し、6週より距骨下関節の可動域の改善を目的に実施することが望まれる。(文責:富永草野病院 宮島 雄)

Bアキレス腱断裂(富永草野病院 桑原隆文)

アキレス腱断裂に対する運動療法において必要な機能解剖、評価や運動療法について文献を基に解説した。機能解剖では、アキレス腱・腓腹筋・ヒラメ筋・Kagers fat pad・長母趾屈筋についての特徴を述べた。また、実際のエコーにて動態を紹介しながら、アキレス腱断裂後の臨床症状と関連させて説明した。アキレス腱断裂に対する治療は、保存療法・経皮縫合術・直視下縫合術の3つに大別されるが、各治療ともに腱のelongationや再断裂などの合併症が存在する。その為、いずれの運動療法においてもアキレス腱の修復過程に応じた治療展開が重要となる。腱は損傷後13週にて線維芽細胞の浸潤ならびに血管新生が認められ、損傷部位に膠原線維が満たされていく。 34週にて線維芽細胞は減少しはじめ、膠原線維が長軸方向に沿って安定・成熟する。その後6週でおおむね修復し、数ヶ月〜数年にて膠原線維の密度や配列などの再構築がなされていく。また、腱のelongationに関しては本学会での学術集会にて発表された術後12週〜18週においてelongationを認め、十分な強度には約20週を要したとする症例報告を紹介した。アキレス腱断裂に対する運動療法ではこれら修復期間を十分に考慮した上でアキレス腱周辺軟部組織の柔軟性・滑走性をいかに維持できるかが重要になると考える。運動療法では腓腹筋・ヒラメ筋・Kagers fat pad・長母趾屈筋に対しての評価や治療法を紹介した。(文責:富永草野病院 桑原隆文)

 

◆第28回勉強会 日時:2012225日(土)14001830 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@肩関節周辺組織の触診

骨、靭帯、筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A脊椎圧迫骨折〜保存的理学療法の考え方〜(富永草野病院 松平兼一)

椎体圧迫骨折に対する理学療法の実施にあたり必要となる解剖学および基礎的な知識についてまとめ,実技を交えて解説した。椎体圧迫骨折は,若年者では高所からの転落といった高エネルギーによる受傷が多く,高齢者では加齢に伴う骨密度低下や骨量減少により,軽微な外力もしくは誘因なく受傷ケースが多く見られる。椎体圧迫骨折の治療方針として,著明な疼痛や神経症状の発現,ADLおよびQOL障害を呈さない限りは,原則としてコルセット装着による保存療法が適応となる。保存的理学療法では圧潰変形の予防として,急性期から積極的に背筋群の筋力強化を行い変形進行の抑制に努める必要がある。また,外固定後は前胸部の拘縮が生じやすいとされており,前胸部の拘縮は不良姿勢を招き,結果的に後弯変形を助長することになる為,特に前胸鎖靱帯,肋鎖靱帯,肩鎖靭帯,大胸筋,前鋸筋,外腹斜筋を中心とした前胸部の拘縮除去が必要である。(文責:富永草野病院 松平兼一)

B肩関節前方脱臼(五十嵐整形外科 田辺 斉)

肩関節前方脱臼について講義、実技を行った。肩関節前方脱臼は肩関節脱臼の90%と圧倒的に多い。その病態としては1)AIGHLを中心とする前方支持機構の機能不全、2)関節内容量の増大と関節内陰圧の減少、3)肩甲下筋腱の下方変位及び前方動揺性、4)関節唇損傷によるバンパー効果の消失、5)骨欠損による骨性支持の減少、6)動的安定化機構の低下などがあげられる。整復後の固定は内旋位固定が一般的であったが、近年外旋位固定の有用性も証明されてきた。反復性に移行した場合はBankart法、Bristow法などの手術療法も必要となる。運動療法は組織の修復を最優先とし、肩前方への離開ストレスを考慮することが重要である。(文責:五十嵐整形外科 田辺 斉)

 

◆第29回勉強会 日時:2012331日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@頚椎周辺・肘関節周辺組織の触診

A上腕骨外側上顆炎(富永草野クリニック 梨本茉莉花)

B胸郭出口症候群(富永草野クリニック 阿部純子)

 

◆第30回勉強会 日時:2012623日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容〔新潟支部全国研修会2012予習会part1〕:肘関節・前腕の機能解剖と骨・靭帯の触診(富永草野病院 小海 努)

新潟支部全国研修会2012の予習会として、近年使用頻度が高くなった超音波エコーについて各種用語の確認、各組織がどのように描出されるかの確認を行った。次に肘関節周囲の骨・靱帯の機能解剖について文献をまとめ、各組織の触診を行った。(文責:富永草野病院 小海 努)

 

◆第31回勉強会 2012728日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容〔新潟支部全国研修会2012予習会part2〕:肘関節・前腕の触診(筋)と外傷性疾患(富永草野クリニック 風間裕孝)

 

◆第32回勉強会 日時:20121019日(金) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容:投球動作について part1〜投球動作の理解〜(富永草野クリニック 安田真士)

 

◆第33回勉強会 日時:2012126日(木) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容:投球動作について part2〜投球動作の指導〜(富永草野クリニック 安田真士)

 

◆第34回勉強会 日時:2013126日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容:Hip-spine syndrome〜腰椎骨盤アライメントと股関節症〜(富永草野病院 梨本茉莉花)

Hip-spine syndromeにおける病態や治療・運動療法について講義と実技を行った。Hip-spine syndromeとは1983年にMacnabOffierskiが「股関節および脊椎疾患の合併により複雑な臨床症状を呈したもの」と報告している。分類はSimple Hip-spine syndromeComplex Hip-spine syndromeSecondary spine syndrome3つに分類されるが実際には互いの境界が曖昧な部分も多く、必ずしも分類に当てはまらない場合もある。この複雑な症状を呈するHip-spine Syndromeに対して治療を行っていく上で、症状が股関節由来か腰椎骨盤由来か見極めることが重要である。そのため、画像所見から得られる測定数値等の種々の情報・正常像との比較、機能解剖学・運動学・病態学等の知識を用い問題点の根幹に対し、正確に治療を行っていく必要がある。運動療法として拘縮の除去、筋力低下部位に対する筋力強化を行い、腰椎骨盤、股関節の静的・動的アライメントの是正を図る必要がある。(文責:富永草野病院 吉田卓磨)

 

◆第35回勉強会 日時:2013223日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@膝関節周辺組織の触診

 骨・靱帯・筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A膝関節伸展制限に対する運動療法(富永草野医院 宮島 雄)

膝関節完全伸展位を獲得する事の重要性を解剖学的観点及び歩行時における膝関節の機能を基に述べた。続いて大腿骨・脛骨の形状、関節面での運動、それに伴う半月板や膝蓋骨の運動について述べ、制限となる事が予想される組織をそれぞれ評価方法や症例紹介とうの文献などを引用しながら説明した。次に、筋性の制限因子について各筋の解剖とその特徴を文献を交えて述べ、最後に筋性の制限因子は他関節の肢位を変える事で考察の一つとなる事を確認し、講義を終了した。実技は、膝蓋下脂肪体の操作、膝窩筋・大腿二頭筋短頭のrelaxation-stretch、ファベラ腓骨靱帯のstretchを運動方向に注意しながら行った。また、膝関節後方組織の持続伸長を浅野先生の報告を基に紹介し終了した。(文責:富永草野医院 宮島 雄)

B膝関節屈曲制限に対する運動療法(富永草野病院 谷内 瞬)

 

◆第36回勉強会 日時:2013323日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@股関節周辺組織の触診

A大腿骨近位端骨折(富永草野病院 後藤 萌)

 大腿骨近位部の解剖学的特徴について説明し、大腿骨頚部骨折及び転子部骨折の概要、術式、合併症等について文献を基にまとめ、臨床上でのポイントを述べた。大腿骨頚部骨折の骨接合術後に生じる遅発性骨頭陥没は、再手術を要することとなる重要な合併症であるが、術後6ヶ月〜2年経過後と遅発性に生じることが特徴であり、PTとしてはリスクの説明と荷重制限を行い、術後2年までは慎重な経過観察が必要となる。大腿骨転子部骨折の小転子骨折は整復されないことが多いが、小転子は筋収縮にて容易に転位するため、術後早期は小転子の骨癒合を優先し安易にSLRなどの筋収縮は行わず、画像上で骨癒合を確認しながら運動療法を進める必要がある。実技では関節包のstretchと大殿筋及び中殿筋の筋出力促通を行った。若年者や壮年者の頚部骨折例ではしゃがみ動作などの深屈曲の獲得も必要となる為、関節包に対しての治療も必要となる。大殿筋及び中殿筋は歩行周期のHC時に慣性による体幹の屈曲に抗する働きをもつため、筋力だけでなくタイミングよくHC時に筋収縮することが歩行において重要となる。(文責:富永草野病院 後藤 萌)

B症例検討

1)肩関節周囲炎

2)足関節脱臼骨折

症例は80歳代男性である。自宅にて庭作業中に脚立から転倒し受傷した。その後、他院にて観血的脱臼整復術および骨接合術を施行された。初診時の理学療法所見として、足関節から前足部にかけて浮腫が強い状態であった。深層屈筋(長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋)、長母趾伸筋の柔軟性低下、Kagers fat padの柔軟性低下を認めた。エコー所見として、Kagers fat padの柔軟性低下と長母趾屈筋の滑走性低下が認められた。今回、足関節背屈時の前方部痛と初期の理学療法における評価や介入について検討していただいた。フロアーからの意見として、長母趾屈筋や長母趾伸筋、Kagers fat padの柔軟性が低下したことにより、前方での痛みが生じたことが考えられた。初期評価や運動療法については、筋の短縮や癒着がどこで生じているかなどを詳細に評価することが重要であるという意見や早期から浮腫管理を行うことが可動域を改善していく上で重要といった意見が出た。症例検討を通して、画像所見から損傷されている組織を予測することや痛みの部位を詳細に評価することの重要性を再認識した。(文責:五十嵐整形外科 清野誉貴)

 

◆第37回勉強会 日時:2013427日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@頚胸部・肩甲帯周辺組織の触診(富永草野クリニック 松平兼一)

1)骨・関節・靱帯の触診:外後頭隆起、上・下項線、乳様突起、頚・胸椎、肋骨、肩甲骨、鎖骨、胸鎖関節、肩鎖関節

2)筋・神経の触診:大胸筋、小胸筋、鎖骨下筋、僧帽筋上部・中部・下部、肩甲挙筋、大・小菱形筋、前鋸筋、外腹斜筋、胸鎖乳突筋、前・中斜角筋、頭板状筋、頚板状筋、腕神経叢

A頚胸椎の機能解剖と頚部及び上背部痛との関連(富永草野病院 佐々木雅司)

頚椎及び胸椎の機能解剖、運動生理学、画像所見の見方、理学療法評価、後頚部・上背部痛の疼痛解釈及び治療手技について紹介した。頚椎の機能解剖学的特徴として、頭部を支える支持機能、頭部・頚部に運動性を付加する運動機能、脊髄・神経根をはじめとする解剖学的重要臓器の保護機能が挙げられる。加齢や外傷等の要因により頚椎構成体に変性が生じると、機能障害へ移行する場合も多い為、発生機序を正しく理解した上での対応が必要となる。また頚胸部疾患において後頚部・上背部痛を呈する事が多く、環椎後頭関節における可動域制限との関連性が伺える。可動域制限の原因として深層筋である頭・頚半棘筋、後頭下筋群がターゲットになる場合が多く、Relaxation-Stretch等の治療が選択される。その他、前胸部(胸鎖関節・肩鎖関節・胸郭)の可動域制限、姿勢アライメントも疼痛発生に関与している場合がある為、局所だけでなく、全体を診た上での対応が重要となる。(文責:富永草野クリニック 松平兼一)

 

◆第38回勉強会 日時:2013525日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@肩関節周辺組織の触診

A肩峰下インピンジメント(五十嵐整形外科 田辺 斉)

B腱板断裂(五十嵐整形外科 小堺由貴)

 

◆第39回勉強会 日時:2013629日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容〔新潟支部全国研修会2013予習会〕

股関節周辺組織の触診(富永草野クリニック 阿部純子・松平兼一)

 

◆第40回勉強会 日時:20131130日(土) 会場:富永草野クリニックリハビリテーション室

内容

@膝関節周辺組織の触診

 骨・靱帯・筋の基本的な触診について参加希望者で確認を行った。

A組織の治癒過程(富永草野病院 小海 努)

軟部結合組織(創傷)、筋(筋線維・筋挫傷・肉離れ)、腱・靱帯(縫合腱・腱骨結合部・関節内再建靱帯)の治癒過程の特徴、臨床における診断・治療のポイントについて文献をまとめ紹介した。各組織の治癒過程を理解する事で医師の指示の根拠を理解する事ができ、適切な時期に適切なアプローチを行う事で拘縮や不安定性等の二次的な障害を防ぐ事ができる。その結果最終的な治療成績の向上につながると考える。(文責:富永草野病院 小海 努)

B大腿四頭筋腱断裂の病態と運動療法(富永草野病院 野口啓太)

大腿四頭筋腱断裂に対する運動療法に必要な大腿四頭筋及び大腿四頭筋腱の解剖の特徴を述べ、エコーにて大腿四頭筋の動態を長軸像及び短軸像にて紹介した。大腿四頭筋腱断裂の概要、手術法、術後合併症、予後について文献をまとめ紹介し、術後運動療法の考え方を述べた。その後実際の症例を通して術後の経過と共に評価及び運動療法を説明した。大腿四頭筋腱断裂縫合術後の運動療法では、MRIを主とした画像所見から損傷組織を予測し、縫合部の修復過程を考慮した運動療法の展開が重要である。縫合術直後から3週までは、不動により生じる問題因子に対し、修復を阻害しない範囲で炎症の沈静化及び膝周囲組織の滑走性・伸張性維持を中心とした運動療法の展開が必要であると考える。術後早期は、ROM-exは禁忌であり、また大腿四頭筋の収縮不全により膝前面組織の滑走を得られない。そこで中間広筋持ち上げ操作が有用であり、術後早期の癒着予防に有用なエクササイズであることを説明した。術後4週から6週は、ROM-ex開始時期であるが、強靭な腱の修復を考慮し6週までは、縫合部の牽引ストレスに注意する必要があると考えられ、愛護的にROM-exOKCにて大腿四頭筋強化訓練を実施した。術後6週以降は、損傷された腱の修復が完成される時期である為、縫合部の痛みに応じて積極的なROM-exの実施、CKC-exを含む大腿四頭筋強化訓練も徐々に導入していった。結果、症例では術後12週にてelongationによる影響もなくextension lag0°が獲得され、正座及び独歩が可能となり、受傷前社会復帰が可能となった。大腿四頭筋腱断裂縫合術後の運動療法において、縫合部の修復過程を考慮した上で癒着が予測される組織に対し、各組織間の滑走性・伸張性を維持・改善することは、ROM及び筋力を改善していく上で重要であり、受傷前機能の早期獲得に繋がると考える。(文責:富永草野病院 野口啓太)

 

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